鬱憤

そう言えばあれだなあ。
いつかの詐欺師には参ったなあ。
詐欺師というものの手口を初めて見ることになったけど。
被害にあわずに過程が見られるなんてなかなか無いことだから、いい経験かもしれないが。


それにしてもあのとき付き合っていた男はアホだったなあ。
くだらない男だったなあ。
わかっちゃいたけどご丁寧にわざわざ惚れる自分も困ったもんだが。
どうにかして家から脱出できさえすれば良かったんだなあ。
あのころはまだ元気もあったしなあ。


プロなんだからカモはわかるんだろうなあ。
私はカモになりにくいということか。
巧妙に洗脳でもされればわからんけど、
あわよくば金が欲しいとかいう発想は皆無だもんで。


占いを武器にして人をコントロールしてビジネスを持ちかける。
あのコントロールは気味悪かった。
まるで見当違いな占いをされているのに段々自分がそういう人間のような気になってくる。
私は結局あまりビジネスに信憑性は感じなかったのだけど、彼が300万払うのは止めなかった。
あんまり大切な人ではなかったってことなのかもだけど、
彼が信じたがっていたからなんだか止められなかったなあ。


しっかし、あのこととあのバカ男とかセットになって、あの頃に自分の容貌への自信を崩され、それがまだ尾を引いているもんで腹が立つ。
女の見た目をけなすことで自信を失わさせるっていうのも洗脳の手口なんだろうなあ。
あのバカバカしい占いは戦略上必要なんだろうなあ。
自信を失わせておいて、自分にある種の依存をさせてコントロールするんだろうなあ。
多分、私の役割は彼が金を払うのを止めないことだったんだろう。
なんだか知らないけど、私がその詐欺師に会うより前から、私がろくでもない女だというストーリーになってて、別れたほうがいいみたいになってたのは、支払いを止める可能性のある人間が邪魔だったってことなんだよなあ。


ただ、あの詐欺師が私の目を怖がっていたのは興味深かった。
私は本当によくあの男の顔を見つめていた。
別に疑う視線でも何でもなく、不思議な人間だから「ふーーん」って見てただけなんだけどね。
私は目つきが怖いなんて人から言われることなんてあり得ないんだよなあ。
どう頑張ったって怖い目付きなんてできねえっての。
それが、本当に嫌がって、
「あんたは目付きがキツイからあんまり人をじっと見ないほうがいい。」って言った。
あれは、確実に恐れていた。
まあ、コントロールされてるもんで、「そんなはずないんだけどそう言うんならそうなのかなあ」なんてマヌケな私の心境だったんだけどさ。
多分、プラスにもマイナスにも偏らない「ふーーん」っていう感じで見られるってのはあんまり無いから怖かったのかもしれない。
疑いの目だったらそんなもんをコントロールする方法は得意分野だろう。
コントロールされるでもなくされないでもない普通の目があいつには怖かったんだろう。
まあ、所詮見抜けはしなかったんだけども、あれは、無垢なる者だけが出来る業だよなあざまあみろ。


それにしても腹が立つのはあいつにどんだけ顔をけなされたかってことだわ!
なんだありゃ。
しかも、まるで見当違い・・・・。


私の顔の欠点は、鼻が小さすぎて目に蒙古ひだがあるから幼くマヌケに見えるとこだ。
なーんか、ぴしっとしない、ぼやけた顔。
なのに、関係ない所で散々けなされる。
唇が薄い、ってなんなんだ・・・・・薄くねえし。
厚くもないけど薄くないどう見ても標準。
無理無理「唇が薄い=女性としての魅力がない」ってことにする。それが必要不可欠なストーリーらしい。
唇の色が悪すぎるって・・・・・んなこたないですよ・・・・・。
唇の赤みが強いし多少のくすみくらいはありますけど。赤ちゃんと比べりゃ酷いかもですけどねえ。
肌が汚すぎるって。
なんか、○○過ぎるってことにすんのが好きらしい。
えっと、肌もきたなくねえし・・・。多少そばかす多めですけど、それ以外はかなりの品質保ってますけど・・・・常に10歳のサバ読みくらいは余裕ですけどーー。
見当はずれな失礼の連続。
占いにすりゃあどんな言いようもできるもんなあ。
ほんでもって、まあ、何度となく言われたのが、
「美人でもなんでもない若くもない女」
なんなんですかねえ・・・・。
何度も何度も言うねえ・・・。
とにかく、女性として価値がないということにしなきゃなんないらしい。
そんで、変わりたいと思わせて変わるためにはこんなふうにしなさい、ちゅーことなんだろ?
彼は本当に能力のある人間なのでサポートできる内助の功女になりなさいみたいな・・・。
ここで、私に対する非常識攻撃が始まる・・・・。
あのさー、多少ちゃんとしてない部分あるけど、非常識なんかじゃねえし。
明日から秘書になれって言われたら無理っすけどね。
まあ、なんかしんないけど、私を落としておけば、彼の支払いの決断を止める私の信ぴょう性が下がるわけだから、それが目的なんでしょ。
別に止めなかったけどな・・・。


しっかし、容貌を否定されるってことはキツイもんだ。
これ以降、「美人」というお世辞にまるでいい気になれなくなってしまった・・・・。
美人でも何でもないってのが結構きつかったのだ。
別に元々美人じゃないけど、お世辞で美人って言われることもたまにある程度にはまともな顔なんだがね。
そんなことより足が太かったりするほうが私には問題なんだけどね。


しかも、この時の彼がまあ、やな奴だったのだ。
別に好みはそれぞれでいいのだが、
自分が付き合っている女に、「もともとおまえはおれの好みのタイプでは無い」的な発言をちょいちょいするってのは下衆の極みだわな。
優位に立ちたいのね・・・・・。
「つきあってあげてます」ってことにしておきたいのね。
ふざけたバカ男だわほんと。
自分が高給取りの端くれだってこと以外になんにも取り柄なんか無いってほんとは気付いてるんだよなボケが。
しかもこちとらそんなことに大して付加価値感じて無いし。


なんか、ほんと、調子悪い時はろくでもないのに簡単にひっかかるわ。
私が男性に感じる価値は知性とか才能とかなんだけども、
この時期は2連続で知性の欠片も才能の片鱗も無いバカと付き合った。
そこまでして私は外出する口実が欲しかったのだよなあまあほんとにかわいそうだこと!
しかもこの時期精神科のデイケア通いだもんな。もともとろくな男いねえっつーの。
あの二人はあの中じゃマシなんだよね。ただ生理的に無理ではないレベル・・・・。


好みじゃないだの美人じゃないだの散々な貶めをされてなんなんだあの時は最悪だわ。
まあ、調子が悪いとそういうのにぶち当たることになってる。
自分を大切にしてくれない相手のほうが、自分に自信のない時期にはリアリティーがあるんだろうねえ。


掘り下げれば結婚した男もまあそういう人だったし。
自分を優位に置くために相手を落として置く。
元々好みじゃない。
なんなんだいちいち。
じゃー付き合うな結婚すんな。
そうじゃなくて(笑)他人を自分の自尊心の肥やしにすんなドアホが。
惚れてるくせにわざわざ落としておかないと自分の立ち位置がヤバイってどんだけ自信が無いんだよ死ね。



荒んでるとなんか文句言うタネが欲しいのでわざわざ済んだことをほじくってみましたとさ・・・・。
なんかほんと何もかもむかつくんだわ。
この家の問題に関わるたびに荒むわ。
あーもうほんとクソだわ。
どいつもこいつも私の尊厳をふみにじりやがって。
もう絶対そんなバカの言いなりになんかならんわ。


もっとね、ちゃんとね、混乱が解消さえすれば、
無垢なる者の強みを発揮できる場面はいくらでもあるだろうに。
あわよくば、なんていう欲望にまるで欠けていることにはそれなりの強みがあるのだけどね。
つまらないものには振り回されないからね。
多くを得ようなんて露ほども思っちゃいないんだから、大切なものだけを得るさ。
あんたらの競争原理は私には無関係。


あーあ。
めんどくさ。